第1 面接相談 ・夫婦同席相談
1 面接相談
当センターは、家族関係調整の専門家集団と目されていますが、
それは長年家庭裁判所で家事事件や少年事件の調査・調整の仕事に従事した調査官や家事調停委員の経験者たちから
構成されているからです。相談を担当する者は、夫婦や親子の問題に習熟しており、
離婚する場合に取り決めておくべき事項やそれを守らせる方法も熟知しています。
夫婦関係がおかしくなっていると考えるようになったら、図1の当センターの最寄りのファミリー相談室に電話で予約をして、
面接相談をしてみてください。それで関係が修復することもあります。
2 夫婦同席相談
東京ファミリー相談室では、夫婦が同席して夫婦の問題について、
相談担当者(1人又は2人)を交えて話し合う夫婦同席相談もあります(夫婦が同席しても子どもや老親の問題について相談するのは、
ここでいう夫婦同席相談ではなく、通常の面接相談です)。夫婦同席相談を希望する場合は、電話で予約する際に、
その旨をお伝えください。相談担当者が間に入っていることで、夫婦二人だけでは言えない不満をさらけ出すことで、
わだかまりが解消し、関係が修復することもあります。
図1 ファミリー相談室と実施している事業
┌─本 部 機関紙(家庭問題情報誌「ふぁみりお」)の発行配布等の普及啓発事業
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|TEL 03-3971-3741
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|住所 〒171-0021 東京都豊島区西池袋 2-29-19 池袋KTビル10階
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| ┌ 1 相談事業,調停事業,面会交流援助事業
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├─東京相談室───┼ 2 後見事業,公正証書遺言者支援事業
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|TEL 03-3971-3741 └ 3 家庭問題の調査・研究事業,セミナー講演会開催事業,講師・鑑定人の推薦事業
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|住所 本部に同じ
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├─養育費相談支援センター 家庭問題に関する公的機関から受託事業―厚労省委託の養育費相談支援事業
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|TEL 03-3980-4108
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|住所 本部に同じ
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| ┌ 1 相談事業,調停事業,面会交流援助事業
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│ ├ 2 後見事業,公正証書遺言者支援事業
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├─大阪相談室───┴ 3 家庭問題の調査・研究事業,セミナー・講演会開催事業,講師・鑑定人の推薦事業
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|TEL 06-6943-6783
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|住所 〒540-0026 大阪市中央区内本町1-2-8 TSKビル3階303号室
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| ┌ 1 相談事業,面会交流援助事業
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| ├ 2 後見事業,公正証書遺言者支援事業
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├─名古屋相談室──┴ 3 セミナー・講演会開催事業,鑑定人・,講師の推薦事業
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|TEL 052-753-4340
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|住所 〒464-0075 名古屋市千種区内山3-28-6 マンション森 9階D号室
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| ┌ 1 相談事業,面会交流援助事業
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| ├ 2 公正証書遺言者支援事業
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├─福岡相談室───┴ 3 セミナー・講演会開催事業,講師の推薦事業
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|TEL 092-734-6573
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|住所 〒810-0041 福岡市中央区大名2-4-38 チサンマンション天神V702号
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| ┌ 1 相談事業,面会交流援助事業
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| ├ 2 後見事業,公正証書遺言者支援事業
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├─千葉相談室───┴ 3 家庭問題の調査・研究事業,セミナー・ 講演会開催事業,講師・鑑定人の推薦事業
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|TEL 043-227-4716
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|住所 〒260-0013 千葉市中央区中央4-12-1 KA中央ビル 3階
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| ┌ 1 相談事業,面会交流援助事業
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| ├ 2 後見事業
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├─宇都宮相談室──┴ 3 講師の推薦事業
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|TEL 028-634-6086
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|住所 〒320-0864 宇都宮市住吉町10-16 尚徳会館内
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| ┌ 1 相談事業,面会交流援助事業
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├─広島相談室───┴ 2 セミナー・講演会開催事業,講師の推薦事業
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|TEL 082-293-8262
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|住所 〒730-0853 広島市中区堺町2-4-11-201 伊藤忠康方
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└─松江相談室 1 相談事業,面会交流援助事業
TEL 0852-59-5860
住所 〒690-0823 松江市西川津町787-38 山陰心理研究所内
(注) 相談室は「ファミリー相談室」のことです。
3 離婚する際の取決めとそれを守らせる方法
いずれの相談においても、離婚に至る可能性がある場合には、離婚に際し、取り決めておくべきこと、
それを守らせる方法等について、相談担当者が助言してくれます。
夫婦同席相談は、調停とは違いますので、相談担当者が当事者に合意を斡旋することはありません。
4 費用
東京ファミリー相談室における面接相談の料金は、60分で5,000円、30分増すごとに2,000円が加算されます。
夫婦同席相談の料金は、90分で8,000円、120分で10,000円です。他の相談室での費用については、直接ご照会ください。
第2 ADR離婚協議等調停事業
別れて暮らす親と子の面会交流援助や養育費相談支援の事業を行っているうちに、
協議離婚等において十分な取決めや納得が得られないままに離婚して、
不幸な状態に陥っている親子がいかに多いかを痛感するようになりました。
そこで、家族関係調整の専門家集団である当センターが離婚協議等の調停を行うべきだと考え、
民間紛争解決手続の業務の認証を申請し、平成21年4月15日に認証許可を受けましたので、
同年4月20日から東京及び大阪のファミリー相談室で調停を始めました。
この調停には、裁判官は関与しませんが、法律的に複雑な問題には、
それぞれの相談室がお願いしている各2人の弁護士から助言を受けることになっています。
1 当センターの調停は子どもがいる夫婦の離婚協議に照準が合わされています
図2の「ADR調停手続の説明図」をご覧ください。
調停は、婚姻関係の維持又は解消及び婚姻解消後の子の監護に関する紛争について行います。
最初から離婚を目指すのではなく、夫婦の関係修復ができる場合は、その方向での調停が進められます。
しかし、離婚が避けられないと考えられる場合は、子の監護に関する紛争、つまり親権者をどちらにするか、
養育費をどうするか、面会交流をどうするかなどを決める必要があります。
親権者の問題については、当センターの調停人は、家庭裁判所で調査官又は家事調停委員として、親権者指定、
親権変更等の事件を担当したことがあり、中には裁判所の命令により、親権者を父母のどちらにすべきかの鑑定を担当した者もいます。
養育費の問題については、第4で紹介するように、厚生労働省から、「養育費相談支援センター事業」を委託されており、
その仕事の中心は、離婚した親からの養育費の問題に関する電話又はメールによる相談・質問に答え、支援することです。
面会交流の問題については、第3で紹介するように、当センターは、
全国8か所の全ファミリー相談室で、面会交流援助事業を実施しています。
調停の中で、面会交流援助の契約をし、事前相談を省略することもできます。
このように、当センターの調停は、親権者の問題、養育費の問題、面会交流の問題のいずれにも通じた調停人が担当し、
かつ、養育費相談支援センターと面会交流援助事業部が調停をバックアップしているので、子どもがいる夫婦が離婚を考えるとき、
最も適した調停と考えます。
2 夜間、休日にも調停ができ、3か月以内での成立を目指しています
当事者の要望があれば夜間や週末にも調停を実施します。相手方の調停依頼書受理後、速やかに第1回調停を開き、
次回は双方当事者と調停人ががあれば話し合って決め、5回又は3か月以内に成立するように努めています。
3 調停が成立すれば調停合意書を作成し、不成立の場合は請求により調停不成立証明書を発行します
当事者の合意ができれば、調停合意書が作成され、調停は成立します。離婚のときは、調停の場で協議離婚届を作成し、
合意内容に将来にわたる金銭の給付に関する事項等があるときは、強制執行力を付与するために公正証書の作成をお勧めします。
不成立の場合、訴訟を申し立てる人には、調停不成立証明書を発行します。
4 費用
費用は、図2の中に記載されています。
第3 面会交流と面会交流援助事業
1 面会交流とは
離婚や別居によって、子どもと一緒に暮らせなくなった親が、子どもに愛を伝え、親子の心の絆を確認する大切な機会です。
子どもの心の健全な成長のために、親の都合や感情を優先せず、子どもが安心して離れて暮らす親に会えるよう、
父母が協力して親の愛を届ける作業です。
両親が離婚し、親同士は他人となっても親子の関係は変わらないのですから、
子どもの福祉を害しない限り面会交流を認めることが定着しています。
表面上はともかく、子どもは、心の底では両方の親から愛されたいと願っているからです。
面会交流の大切さについては、本誌でも何回となく強調してきているところですが、特第37号、38号、39号と連続で、
父親の立場、母親の立場、子どもの立場から面会交流について、当センターが行っている交流援助の事例をもとに紹介しています。
いずれもホームページでもご覧になれます。
図1でご覧のように、全国8か所のすべてのファミリー相談室で、面会交流の援助事業を行っています。
2 当センターが行う面会交流援助とは
父母が自分たちの力で面会交流ができないとき、親子のよい関係を育むために行う子ども支援事業です。
子どもの立場に立って行う事業ですから、父母の希望どおりに援助を行うわけではありません。
したがって、当センターの面会交流援助を希望される場合は、調停や訴訟で面会交流の取決めをする前に、
父母には個別に事前相談を行って、援助できるかどうか協議させていただいています。
中には、援助する側が全く関知しないうちに、親の都合だけで取り決めた調停調書や判決書を持ち込んで、裁判所が決めたのだから、
このとおり実施しろと息巻く人が現れてびっくりすることがありますが、
援助する側の要件外の取決めの援助はお断りする場合があります。
3 東京ファミリー相談室が行っている面会交流援助の実際 (図3)
図3の「東京ファミリー相談室の面会交流援助の流れ」にあるとおり、離婚を考える段階、離婚の調停中、訴訟中、
離婚後のいずれの段階においても、FPICに面会交流援助を求めるときは、父母双方の事前相談が必須条件です。
(1) 事前相談
父母や子どもが安心して面会交流ができるように、援助の内容を説明し、援助の種類等について協議します。
(2) 継続援助
@ 付添い型援助
別居親に子どもを会わせることに、同居親が強い不安を抱いている場合、面会交流の場に援助者が付き添い、
子どもの情操の保護などに配慮します。面会者は別居親に限り、父母いずれの自宅も面会場所とはしません。
援助は、月1回まで、1回の援助は3〜4時間以内。初回は、1時間程度とし、相談室の児童室において行います。
A 受渡し型援助
面会交流の際、別居親に子どもを託すことには問題はないが、父母が顔を合わせられない場合に、子どもの受渡しを援助します。
援助者は、面会交流場面には同行しませんが、日時、場所、面会方法の打合せや調整を行い、面会交流中の緊急連絡に対応します。
原則として月1回が限度です。
B 連絡調整型
父母が連絡を取り合うことが困難な場合、代わって双方に連絡を取り、日時、場所などの調整をします。
(3) 短期援助
裁判所内での試行面会ができない場合等の例外的援助です。
1回1時間程度で2回を限度とし、援助者が付き添って相談室の児童室か周辺地域で実施します。
短期援助を受けて、それで自立の面会交流ができるようになることもあり、継続援助を受けるようになることもあります。
(4) 付添い型面会交流を円滑に行うためのルール
@ 子ども優先の日程の調整
同居親から複数の候補日を提示してもらい、別居親と援助者が調整して決めます。
約束した日程は、病気や学校の行事延期などやむを得ない事情が発生しない限り誠実に実行することを前提に、
原則として振替実施はしません。
A 同席者
援助者が同席又は待機を要請又は許可しない限り、同居親は室外待機とします。
B プレゼント
誕生日やクリスマスのプレゼントは、援助者を通して事前に相談してください。面会交流は、親子で楽しむ時間です。
プレゼントはなるべく控えてください。
C 写真撮影
子どもが嫌がらない場合には、数枚の撮影は認めています。録音は禁止します。
D 外部との通信
携帯電話で子どもに外部と通信通話させることはできません。
E 援助の中止
次のことが発生した場合には、援助を中止し、以後一切の援助はしません。
a 人や物に対する暴力
b 連去り又は連去りの企図
c 子どもの発言を情報源にした行動(同居親の秘匿している自宅や保育園等の近辺に立ち現れること等。
子どもは面会の際に自由に振る舞えなくなります)
(5) 費用
東京ファミリー相談室の事前相談及び各援助に関する費用については、当法人のホームページで「面会交流の援助」を開くと
「面会交流援助の案内」に掲載されています。
事前相談の際には、この「面会交流援助の案内」が渡されます。他の相談室の場合の援助の種類、手続、費用等は、
直接電話で確かめてください。
(6) 面会交流と面会交流援助
現在の協議離婚届書では、未成年の子があるときは、父母のどちらがその親権者になるかを記載するだけですが、
近い将来、面会交流及び養育費についても記載することになると思われます。記載の必要の有無にかかわらず、また、
協議離婚、調停離婚等の離婚の種別にかかわらず、面会交流の取決めをすることは、子どもの権利を守るための親の義務です。
離婚後、父母が自力で面会交流を実施できる自信がない場合は、前述の面会交流援助の実際を念頭に置いて、面接相談、
夫婦同席相談、事前相談、ADR調停を利用されることをお勧めします。
第4 養育費と養育費相談支援センター
1 未成熟子
未成年の子という言葉がありますが、養育費の対象となるのは、未成熟子です。
未成熟子とは、成年に達しているかどうかではなく、子自身が自分で稼いでおらず、
経済的 ・ 社会的に自立していない子のことをいいます。したがって、まだ18歳であっても親の援助なしで自立している子は、
未成熟子ではなく、20歳であっても学生や進学浪人をしている子は、未成熟子として養育費の支払いの対象となることがあります。
2 扶養義務
未成熟子に対する親の扶養義務は、親の生活に余力がなくても自分と同等の生活を保障するという強い義務(生活保持義務)だとされています。
3 養育費の請求
未成熟子が必要とする限りいつでもできますが、離婚の際に額や支払方法等を決めておくのがベストです。
4 養育費相談支援センター(以下、「支援センター」という)事業
当センターが厚生労働省から委託を受けて行っているこの事業は、
全国の母子家庭就業 ・ 自立支援センター及び市区町村の養育費相談窓口(母子自立支援員等)の相談支援、研修、
情報提供を行うことですが、当支援センターに直接寄せられるひとり親家庭やこれから離婚を考えている方からの電話や
メールは年々増え続けており、平成22年度は約7,000件に達しました。
5 支援センターの事業
この事業には、高度な専門知識、きめ細かな対応技術、精力的な人材育成能力のあることが要請されますが、
当センターは、その要請に応える力量を有しているとして委託されているものです。
支援センターの事業は、すべて無料で実施されています。
6 養育費と支援センター
未成熟子がいる夫婦が離婚を考える場合には、子どもの養育費について取り決める必要があります。
養育費の取り決めをすることは、子どもの権利を守るための親の義務です。
養育費の金額については、両親の収入に基づいて話し合って決めるのが一般的な方法ですが、
裁判官の有志による研究をまとめた「養育費の算定表」(支援センターのホームページで見ることができます)
を参考にするとよいでしょう。また、取り決めた養育費の支払いがされないなど、
養育費に関する一切の相談や質問を待っていますから、図4の「こんなとき養育費相談支援センターにご相談ください」をご覧ください。
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