1 FPICが行う公益目的事業
当法人の定款第3条では、
「本法人は、人間関係諸科学を活用して、家庭問題の解決、児童の健全育成、高齢者等の福祉の増進及び
これらの普及啓発に資する事業を行い、より良い社会の形成の推進に寄与することを目的とする。」
としています。そして、第4条では、
(1) 家庭問題に関する心理 ・ 教育相談事業及び調停手続事業(ADR)
(2) 親子の面会交流援助事業
(3) 後見、後見監督等に関する事業及び公正証書 遺言者への支援事業
(4) 家庭問題に関する調査 ・ 研究事業,セミナー ・講演会の開催事業、講師 ・ 鑑定人の推薦事業及び機関紙(家庭問題情報誌「ふぁみりお」)の発行配布等の普及啓発事業
(5) 家庭問題に関する公的機関等からの受託事業
(6) その他前各号の事業を達成するために必要な事業」
としています。
2 公益目的事業の概要
(1) 相談事業
当法人は全国8か所にファミリー相談室を開設し、家庭問題に当面する当事者の申出を受けて会員による心理 ・
教育相談を行っています。東京相談室及び名古屋相談室においては、電話無料相談も行っているほか、
多くの相談室では無料相談会を開催しています。
来談者は、当法人のホームページ、機関紙等で知ったり、地方自治体、弁護士等から勧められたりして来室しています。
また、当法人の相談室は、指定相談室契約もしています。
(2) 調停手続事業(ADR)
当法人は、平成21年4月15日に法務省から民間紛争解決手続(ADR)機関としての認証を受け、東京及び大阪の相談室において、
婚姻関係の維持又は解消と子の監護に関する紛争についての調停を行っています。日本の離婚の9割を占める協議離婚の際に、
当事者が面会交流、養育費等について明確な取り決めをしないまま離婚を急ぐため、離婚後に紛糾する例が多く、
家庭裁判所に調停を申し立てても調停が終了するまでにかなりの時間がかかるという現状を踏まえて、
ADR調停を始めることにしたものです。当事者の便宜を図るために、調停期日の間隔を短くし、夜間及び土曜、
日曜を含む時間帯にも調停を行っています。
(3) 親子の面会交流援助事業
当法人は、離婚又は別居により子と別れて暮らす親と子の面会交流の実施を援助する事業を行っています。
別れて暮らす親と子の面会交流の必要性は分かっていても、離婚又は別居に至るまでの敵対感情、不信感等が尾を引き、
父母が直接打合せをしたり、互いに顔を合わせたりしたくない、子どもが連れ去られる恐れがないようにしたい、
などという要望を受けて、当法人の相談室が中立の立場で面会交流を仲介し、援助する事業です。
両親双方の申込みを受けて、相談室の援助方針に従う約束のもとに実施します。援助は、相談室内で行うほか、外部の施設,
公園等に会員が付き添って実施しています。同居親から子どもを預かり、別居親に渡し、時間終了後は子どもを同居親に返すほか、
交流中は事故(連れ去りを含めて)が起こらないように目配りをし、
子どもへの接し方に戸惑っている父親には父親教育的援助も行います。
全国的な規模で交流援助を行っているところが少ないためか、援助を希望する親が年々増加傾向にあります。
平成22年度の援助件数は、全相談室合わせて423件でしたが、各件の親子が毎月1回交流することになれば、
年間約5,000回の援助をすることになり、膨大な労力が注がれることになります。
(4) 後見,後見監督等に関する事業
高齢者等が精神上の障害により判断力を欠く常況にあるなどとして成年後見人等の選任が求められる際に、親族に適任者を欠く場合,
家庭裁判所から依頼を受けて、法人又は会員が成年後見人、成年後見監督人等を引き受けています。
このほか、後見制度には、親権者を失った未成年者に対する後見制度があり、親族内に後見人としての適任者を欠く場合があり、
家庭裁判所を含む推薦依頼者に対し未成年後見人候補者の推薦を行い、会員が引き受けています。
被後見人等に資力がなく、後見報酬はもとより、後見人等が後見活動で使った実費さえも支払えない場合でも、
家庭裁判所から事前の打診があれば、できるだけ引き受けることにしています。
(5) 公正証書遺言者への支援事業
高齢者の中には、親族には秘密裏に公正証書遺言書を作成しておきたいと希望する人々があります。
このような希望者に対して、当法人の会員が公正証書遺言の作成に必要とされる立会証人を引き受けています。
公証人と見知らぬ証人2人の前で遺言をすることは、遺言者にとっては、緊張と秘密がもれる不安が生じる場面ですが、
当法人の会員が証人として希望される背景には、会員が家庭裁判所で、
緊張した当事者の接遇と守秘義務の訓練を受けてきた者たちであることもあるようです。
(6) 調査 ・ 研究事業
当法人は、家族関係調整の専門集団と目され、当法人が実施した「離婚した親と子どもの声を聴く
―養育環境の変化と子どもの成長に関する調査研究」、「夫婦の危機と養育機能の修復」等の研究報告書は、
専門家の間でも高い評価を受けています。提供する情報内容をより有効、適切なものとするため,常に最新の情報・資料等を収集し、
分析 ・ 検討する研究を行っています。
(7) セミナー ・ 講演会の開催事業
東京相談室では、「子どもがいる夫婦の離婚セミナー」や離婚又は別居により別れて暮らす親と子の「面会交流セミナー」を
16年前から無料で実施してきていますが、その後他の相談室においても,セミナー、講演会を開催するようになっています。
「子どもがいる夫婦の離婚セミナー」では、離婚せざるを得ない場合、子どもの側から離婚を考えることの大切さを説き、
「面会交流セミナー」では、子どもにとっての面会交流の重要性を説き、離婚した父と母が、
子どもの養育のための良きパートナーとなることを強調しています。
(8) 講師 ・ 鑑定人の推薦事業
地域団体、学術団体等からの依頼を受けて、家庭問題に関する講演会、セミナー等における講師、
パネリスト等を会員のなかから推薦しています。旅費と日当程度の低額の謝金、場合によっては無償で引き受けています。
また、裁判所からの依頼を受けて,民事事件の離婚等の訴訟事件について、
親権者の指定とそれに付随する面会交流のあり方等の鑑定人に会員を推薦し、刑事事件の量刑手続での被告人について、
情状鑑定の鑑定人に会員を推薦しています。
裁判所は、かつて家庭裁判所で子の監護に関する事件や犯罪少年の事件を豊富に取り扱った経験を有する当法人の会員に、
この種の鑑定を依頼してきています。鑑定人となった会員に対しては、鑑定を経験した会員等が支援し、
法人の鑑定器具等の貸与などを行っています。
(9) 機関紙(家庭問題情報誌「ふぁみりお」)の発行配布
等の普及啓発事業
平成家族考、海外トピックス等の家庭問題に関する情報を内容とする機関紙(家庭問題情報誌「ふぁみりお」)を、
日本宝くじ協会の支援を受けて、年3回(毎回27,000部)発行し、全国の家庭裁判所 ・弁護士会 ・ 図書館、地方自治体の社会福祉 ・
社会教育 ・ 相談関係機関、企業その他の団体及び個人購読希望者等、約6,700か所に無料で配布し、
ホームページにも掲載して誰でも閲覧できるようにしています。
また、「夫婦の危機と養育機能の修復」など家庭問題に関する研究報告書を実費程度で頒布したり、
家庭問題に関する啓発図書を発行 ・ 頒布したりしています。
(10) 公的機関等からの受託事業
家庭問題について公的機関等から委託を受けて行う事業であり、国政等の健全な運営の確保に資することを目的とする事業です。
@ 厚生労働省からの「養育費相談支援センター事業」の受託事業
平成19年10月から受託していますが、主たる事業内容は、@養育費相談支援事業 A研修事業B情報提供事業です。
養育費相談支援事業は、電話と電子メールによる相談が主であり、平成22年度は6,940件(前年比33%増)でした。
研修事業は、全国の第一線で養育費の相談を担当している母子自立支援員等の研修であり、平成22年度は、
全国研修3回、全国の自治体が企画する母子自立支援員のスキルアップ研修、母子家庭等を対象とする講演会など58回、
延べ64人の会員が講師を務めています。情報提供事業は、機関紙「ふぁみりお」、ニューズレター、
支援センター専用のホームページ、パンフレット、ポスター等を活用しているほか、セミナー ・
講演等を通じて養育費についての情報提供 ・ 啓発活動を行っています。
支援センターの事業には、高度な専門知識、きめ細かな対応技術、精力的な人材育成能力のあることが要請されますが、
当法人はその要請に応える力量を有しているとして委託されているものです。支援センターの事業は、すべて無料で実施されており、
電話相談は、月曜日から土曜日の午前10時から午後8時まで相談を受けています。電子メール相談は、24時間いつでも受け、
迅速に回答するようにしています。
また、当法人のホームページだけではなく、専用のホームページでこの事業の周知徹底を図るとともに、パンフレット、
ポスター等を全国に配布し、養育費支払義務者の責任感を喚起し、権利者の相談意欲を喚起するように努めています。
A 市役所等の相談室の相談の受託事業
東京相談室では埼玉県川口市役所及び西東京市役所に、大阪相談室では八尾市社会福祉協議会に、宇都宮相談室では小山市役所に、
広島相談室では広島県女性会議が主催する相談会に、それぞれ家庭問題に関する相談を委託され、
会員が出かけて行って担当しています。
3 公益目的事業を行う相談室の組織図
┌─本 部 機関紙(家庭問題情報誌「ふぁみりお」)の発行配布等の普及啓発事業
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|TEL 03-3971-3741
|
|住所 〒171-0021 東京都豊島区西池袋 2-29-19 池袋KTビル10階
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| ┌ 1 相談事業,調停事業,面会交流援助事業
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├─東京相談室───┼ 2 後見事業,公正証書遺言者支援事業
| │
|TEL 03-3971-3741 └ 3 家庭問題の調査・研究事業,セミナー講演会開催事業,講師・鑑定人の推薦事業
|
|住所 本部に同じ
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├─養育費相談支援センター 家庭問題に関する公的機関から受託事業―厚労省委託の養育費相談支援事業
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|TEL 03-3980-4108
|
|住所 本部に同じ
|
| ┌ 1 相談事業,調停事業,面会交流援助事業
| |
│ ├ 2 後見事業,公正証書遺言者支援事業
| |
├─大阪相談室───┴ 3 家庭問題の調査・研究事業,セミナー・講演会開催事業,講師・鑑定人の推薦事業
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|TEL 06-6943-6783
|
|住所 〒540-0026 大阪市中央区内本町1-2-8 TSKビル3階303号室
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| ┌ 1 相談事業,面会交流援助事業
| |
| ├ 2 後見事業,公正証書遺言者支援事業
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├─名古屋相談室──┴ 3 セミナー・講演会開催事業,鑑定人・,講師の推薦事業
|
|TEL 052-753-4340
|
|住所 〒464-0075 名古屋市千種区内山3-28-6 マンション森 9階D号室
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| ┌ 1 相談事業,面会交流援助事業
| |
| ├ 2 公正証書遺言者支援事業
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├─福岡相談室───┴ 3 セミナー・講演会開催事業,講師の推薦事業
|
|TEL 092-734-6573
|
|住所 〒810-0041 福岡市中央区大名2-4-38 チサンマンション天神V702号
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| ┌ 1 相談事業,面会交流援助事業
| |
| ├ 2 後見事業,公正証書遺言者支援事業
| |
├─千葉相談室───┴ 3 家庭問題の調査・研究事業,セミナー・ 講演会開催事業,講師・鑑定人の推薦事業
|
|TEL 043-227-4716
|
|住所 〒260-0013 千葉市中央区中央4-12-1 KA中央ビル 3階
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| ┌ 1 相談事業,面会交流援助事業
| |
| ├ 2 後見事業
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├─宇都宮相談室──┴ 3 講師の推薦事業
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|TEL 028-634-6086
|
|住所 〒320-0864 宇都宮市住吉町10-16 尚徳会館内
|
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| ┌ 1 相談事業,面会交流援助事業
| |
├─広島相談室───┴ 2 セミナー・講演会開催事業,講師の推薦事業
|
|TEL 082-293-8262
|
|住所 〒730-0853 広島市中区堺町2-4-11-201 伊藤忠康方
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└─松江相談室 1 相談事業,面会交流援助事業
TEL 0852-59-5860
住所 〒690-0823 松江市西川津町787-38 山陰心理研究所内
(注) 相談室は「ファミリー相談室」のことです。
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