ホーム業務内容相談室セミナー講師派遣ふぁみりお出版物リンク

  家庭問題情報センター(略称FPIC)は平成5年に社団法人として発足し、平成15年3月には10周年を迎えました。その間当法人の中心的な事業として、 家庭や職場・学校での人間関係の問題や生き方についての悩みなど、時代を映すさまざまな相談を受けてきました。 東京、千葉、栃木、大阪、福岡など全国5か所の相談室で受けた面接相談件数は1万件を超え、これ以外にも電話相談、無料面接相談や他の機関に出張して受けた相談も多数にのぼります。 平成12年にホームページでFPICの活動を紹介してからは広くインターネットの情報から相談室を訪れる人が年々増加し、今後も家庭などの悩みごとの相談の需要は増え続けることが予想されます。 本号では当センターの10年間の相談事業について報告します。なお、データはいずれも東京ファミリー相談室の統計資料分析したものです。

  当センターの相談活動では、来談者の中に内在する力に着目して支援しています。 法律相談とは性格が違うものです。来談者に相談後の感想を聞くと、「気持ちの整理がつきました」、「問題解決に向けて自分らしく動けそうです」という感想を述べる人が多いのです。 これが問題解決の道筋を自己決定して解決に向けて行動するためのエネルギーになると考えています。相談は人間関係などの問題解決に長年携わってきた元家庭裁判所調査官等が担当しています。

1 面接相談

 面接相談については、平成6年4月1日から平成15年3月31日までの来談者、男性1,041人、女性2,134人、合計3,175人について分析しました。なお、この間に受けた面接相談の件数は6,102件です。
※継続相談者は初回のみカウントしました。

(1)面接相談の来談者
 男性の来談者は約3割ですが、平成12年にホームページを開設してからは男性の来談者の割合が増加してきています。 年齢は、男女とも30歳代、40歳代の方が多くなっています。この世代には離婚問題のなかで未成年の子どもとの関係を悩んでの相談が多く見られます。 次に多いのが50歳代、20歳代となります。また、毎年10歳代の学生・生徒の学校での問題や不登校、進学、生き方などの相談、数の上では少数ですが80歳代の方の親子・親族の問題等の相談も受けています。
 来談者の住所は、東京在住者は5割強で、続いて関東近県の方が多くなっています。北海道から九州までの全国各地域からも来室され、中には外国からの相談も見受けられます。
 当相談室を知った情報源は、最近は約3割がインターネットからですが、公共機関や民間の相談所、医療機関あるいは弁護士など他の相談機関を経て来た方や紹介されて来室する方も多くなっています。 また、当センターが平成7年以来継続実施している「子どもがいる夫婦の離婚セミナー」の受講者や、当センターが刊行した家族問題に関する書籍を読んでの来室もあります。

(2)相談内容
 次ページの第1図、第2図のように、相談内容は家族・親族の問題を中心に多岐にわたっています。 「夫婦間の問題」は例年一番多く、増加傾向にあるのは「離婚後の子をめぐる問題」、「親族関係の問題」です。
@ 夫婦間の問題
 男女ともに夫婦間の問題の相談が圧倒的に多いのですが、特に男性の来談者が急増しています。 男性の悩みは、妻の異性関係、性格の不調和、自己の異性関係、妻の親族関係の順です。 女性の悩みは、夫の異性関係、夫の暴力、性格の不調和、夫の親族関係の順となっています。夫婦の問題の相談の内訳は第3図、第4図のとおりです。 男女とも一番多いのが、離婚の際に考慮すべきことを知りたいということです。 女性は夫の問題への対応の仕方について助言を求めるものが多く、男性は妻から離婚を求められているが離婚を避けたい、夫婦関係を修復したいという相談が多くなっています。 解決に向けて、個々の問題だけではなく夫婦相互の関係のとり方についても助言していますが、最近は夫婦一緒に来室しての相談が増えています。
A 離婚後の子をめぐる問題
 離婚後の親子関係、面会交流、養育費、親権などの相談です。 圧倒的に多いのが離婚後の親子関係の持ち方と親子の交流の相談で、9割を占めています。 男性からは、「母親が子に会わせようとしない」という相談、女性からは「父親から子に会わせろと言われているが奪われる不安がある」、 「今まで父親らしいことをして来なかったのに」など不信感をあらわにした相談が多く見られます。双方に子どもの福祉を第一に考え、子どもの立場に立って解決をするよう助言しています。
 平成8年に「親と子の交流援助」の事業を始めましたが、面会を求める親や法曹関係の方からの期待も大きく、件数が増え14年度には28ケースについて親子交流の援助を実施しました。 ただ、別居・離婚後も両親がお互いに複雑な感情を抱いているケースが多く、援助担当者は父母の感情の緩和や調整に苦労します。
B 親族関係の問題
 相談内容は、「親と成人した子の葛藤」が一番多く、次いで「遺産をめぐる問題」、「きょうだい間の葛藤」、「扶養の問題」の順です。 親の財産・扶養をめぐるきょうだい間の意識のずれが原因であることも多く、紛争の原因理解の援助と親族関係の調整、円満な話し合いの進め方などを助言しています。 また、平成12年4月から新たに成年後見制度が発足しましたが、後見人等になった方のための専門相談も実施しています。
C 子どもの問題
 未成年の子どもの問題は、両親そろって来室する場合も多く、不登校が全体の26%を占め、次いで家庭内暴力、非行、親子関係の順となっています。
 成人した子どもの問題では、一番多いのが、子ども夫婦の不和の相談で、39%を占めています。また、平成7年頃から引きこもりの子を心配しての相談が増加し60歳代、70歳代の親が来室しています。


2 電話相談

 電話相談は、平成9年1月から財団法人「女性のためのアジア平和国民基金」から業務委託を受け、女性を対象に「女性の名誉と尊厳を守る電話相談」を週2回実施してきました。 同時に「家庭内における女性の尊厳侵害(いわゆるDV)に関する実情調査」を受託し、電話相談からDV問題を分析し報告してきました。平成13年からはFPICの独自事業として継続していますが、 平成14年にはアジア女性基金から「DVに対する男性の意識とDV防止のための加害者教育に関する調査分析」の調査研究を受託したことにより、男性からの電話相談も受けるようになりました。 平成9年1月から15年3月までに受けた電話相談は3,334件です。 単なる情報提供を求めるものは少なく心情を聞いてほしいという意向が強く、平均相談時間は32分となっています。 家庭の悩みの電話相談として定着し、全国から夫婦の問題を中心に幅広い内容の相談を受けています。

*  *  *

 民間相談機関である当センターの相談事業は、「健全な家庭生活の実現と子どもの健全な成長に貢献する」という法人の趣旨に賛同した会員、法曹界、経済界、助成団体等の支援で10年間継続できました。 今後とも相談事業の一層の充実に努めてまいります。

 ホーム 業務内容 相談室 セミナー 講師派遣 ふぁみりお 出版物 情報公開 リンク
Copyright (C)2002 Family Problems Information Center
* 本ホームページの内容を無断で転載することを禁じます。