平成16年4月、それまで地方裁判所が扱っていた離婚、離縁、認知などの人事訴訟事件が家庭裁判所に移管されました。
家庭裁判所が訴訟事件を扱わなかったのは、訴訟という対決的な手段を和やかな話し合いの場に持ち込むと調停に支障をきたす恐れがあるというのが主な理由でした。
しかし家庭裁判所が発足して50年以上経ち、調停はしっかり定着して着実に実績を挙げているので訴訟が来てももはや恐れることはないこと、
同じ紛争が家庭裁判所と地方裁判所に分断されていては当事者に分かりにくく司法制度としても一貫しないこと、
訴訟にも家庭裁判所調査官に関与を求めることができるようにすることなどの理由から、人事訴訟が移管されることになったのです。
これで家庭裁判所は名実ともに家庭に関する専門の裁判所となりました。
さらに国民の良識を人事訴訟にも反映させるために法廷に出席して裁判官に意見を述べる参与員の制度も設けられました。
本号では移管の範囲、手続の要点、調停との関係などについて簡単に説明します。
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