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全米保健統計によれば、15〜19歳のアフリカ系アメリカ人女性の死因の第1位は親密な交際相手からの虐待であり、他の人種の場合でも第2位です。 アメリカの高校生の8人に1人、13〜19歳(以下10代とします)では3人に1人が交際相手からの暴力を経験しています。 交際相手からの、肉体的、言語的、精神的、性的暴力等はデートDVと称されていますが、 アメリカ議会は毎年2月の第1週を「10代へのデートDV、気づきと予防の週」と宣言しています。 米国法曹協会もデートDVについての啓蒙と教育を進め、青少年が暴力の被害者・加害者となるのを予防し、 成人してからもDVの加害者や被害者になるという連鎖を断ち切ろうと呼びかけています。

(出典Judges' Journal ・Summer 2007)

1.10代のデートDV

調査によると、DVのある家庭で成育した子どもは、自らが標的になった場合でなくとも、10代になってから、そして成人後に、 暴力の被害者・加害者になる可能性や、刑法上の何らかの問題にかかわる可能性が高く、心身の健康状態にも好ましくない影響を受けることが多いといわれています。 デートDVは、人種、社会経済レベル、宗教、民族の違いにかかわらず起こりうることです。被害者・加害者の性格や能力も様々です。

また、被害者の95%は女性ですが、その逆もありえます。

10代のデートDVは、未成熟さゆえに問題が複雑で深刻です。 自分の居場所が定まらない感覚が、虐待を受けたことの影響をさらに大きなものにしていますし、周囲に、大人の健康的な男女関係がない場合、 DVのわなにはまりやすい危険があります。 成育した家庭でDVを見聞きした経験、児童虐待・性的虐待、体罰を受けた等の経験があると、 自分の交際相手が力でコントロールすることを当然のように受け入れてしまうといわれています。 虐待を受けたことが自己評価を破壊し、自らを主張して関係から抜け出そうとする力や自尊心を奪い取り、自分には価値がなく、 暴力は自分のせいだと思うようにさえなるのです。そして、被害者が自分の被害を虐待と認識しないために、誰にも知らされずに被害が激しくなってしまいます。

被害者が助けを求めない理由は他にもあります。自分の話を信じてもらえないとか、自分自身が責められることを心配するからかもしれません。 あるいは、加害者の報復を恐れる人、反対に交際相手への制裁を避けたい人もいるでしょう。 周囲の誰かが気づくか、被害者に気づきのきっかけを与えない限り、暴力の連鎖は永遠に続いてしまいます。 米国法曹協会は、デートDVの危険信号チェックリストを作成し、家庭や学校、地域が一丸となってデートDVを予防し、 暴力という疫病のまん延を食い止めようと呼びかけています。

2.デートDVの危険信号

  • □ 一方が他方に命令する、また、他人の前でもふたりだけのときも他方を侮辱する。
  • □ 一方が、他方が異性と話していると狂ったように嫉妬する。
  • □ 一方が、他方が同性の友人や家族と過ごすことにも嫉妬して束縛する。
  • □ 第三者に指摘されると、虐待されている方が、加害者の行動を弁解し、正当化する。
  • □ 虐待されている方は、自分の友人や家族との約束を、説明なく直前にキャンセルする。
  • □ 一方が、自分の行動をすべて報告しなくてはならない。
  • □ 一方が他方に、望まない性的行為を強要する。
  • □ 一方が、過剰に電話をかけ、メールを送信する。
  • □ 虐待されている方は、明らかに、ささいなことへの相手の異常な激怒を心配している。
  • □ 虐待されている方は、加害者の前ではその性格や行動が第三者の目にも明らかに変わる。
  • □ 虐待されている方は、体重や外見、学校の成績が劇的に変化する。
  • □ 虐待されている方に、あざや切り傷、擦り傷があり、そのことに触れようとしない。
  • □ 虐待されている方は、暖かいときでも長袖、長いズボンを身につけ、普段より濃い化粧をする。

3.終わりに

アメリカでは10代が親の関与なく保護命令請求をできるような法的対策や、保護命令を出す際に被害者・加害者が同じ学校に通う場合の学校との連携等も検討されています。 日本でもようやく知られてきた問題ですが、携帯電話が凶器にもなりうる今日、若い世代ほど日本独特のジェンダーバイアスに囚われているような現状も見受けられます。 早急な認知と予防が必要です。



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