1 「じいじ」「ばあば」は優しい語感人気
国立国語研究所調査 asahi.com
http://www.asahi.com/culture/news culture/TKY20090701023.html
国立国語研究所(東京都立川市)は,平成21年3月,全国で成人803人 を対象に,「国民の言語使用と言語意識に関する全国調査」を行い,
祖父母を「じいじ」「ばあば」と呼ぶ大人が4人に1人おり,首都圏では40〜50代の女性の半数が使っていることが分かったとのことです。
幼い孫などが使うときの優しい語感が受けて,成人の間にも広まっているようだとしています。
「じいじ」と呼ぶことがある人は,全国平均で23.5%,「ばあば」は23.7%。「じいじ」が女性26.7%に対して男性20.2%,「ばあば」が女性28.9%に対して男性18.2%で,
女性の方が多くなっています。首都圏の40〜50代の女性の場合,47.2%の人が「じいじ」,50.9%の人が「ばあば」と呼ぶと答え,若い世代ほどよく浸透していたとのことです。
また,地域的な偏りもあり,首都圏では「じいじ」の使用者が34.1%,「ばあば」が33.6%と多いのに,西の近畿では19.7%と17.6%,九州ではともに11.0%となっています。
方言学では,方言が文化の中心地から周辺に伝わり,同心円状に分布するという仮説があり,「じいじ」と「ばあば」も首都圏から全国へと広がりつつある呼称らしいとしています。
「じいじ」はもともと「祖父(じじ)」が,「ばあば」は「祖母(ばば)」が音変化した幼児語です。
広がった明確なきっかけは不明ですが,朝日新聞では「ひととき」欄などで80年代から使われており,04年にはNHKのテレビドラマ「ジイジ 孫といた夏」が放映され,
西田敏行さんの「ジイジ」役が好評で,「じいじ」「ばあば」の普及に一役買ったようだとしています。
調査を担当した尾崎善光主任研究員は,「親しみをこめた新しい表現として広まっているようだ。あかぬけたニュアンスも感じられ,
そこが特に首都圏の母親などに受け入れられて広まりつつあるのではないか。ただ,男性は抵抗感があるのかもしれない」と話しています。
2 お子さんは,祖父母をなんと呼んでいますか?
ベビカムWeekly リサーチ
http://www.babycome.ne.jp/online/research/vol_53.html
ベビカムでは,平成20年8月にWeeklyリサーチとして,ママたちに標記のアンケート調査を行い,有効サンプル1,346件に基づいて分析しています。
(1) 「おじいちゃん」の呼び方,ママたちはどう考えている?
子どもに自分の父親をどう呼ばせたいかの質問に対して,全体では「おじいちゃん」が37%,「じいじ」が36%でした。
「じいちゃん」と呼ばせたい人が16%で,「おじいちゃん」と合わせて過半数の53%が祖父の一般的な呼称で呼ばせたいようです。
年齢が若いほど「じいじ」の人気が高くなっています。地域別に見ると,「おじいちゃん」と呼ばせたい人は北陸・甲信越や近畿で,「じいじ」と呼ばせたい人は関東や四国で多く,
それぞれ40%を超えていました。
(2) 「おばあちゃん」の呼び方,ママたちはどう考えている?
自分の母親のことを,子どもにどう呼ばせたいかの質問に対して,全体としては祖父の呼び方と同様に,「おばあちゃん」+「ばあちゃん」で53%,「ばあば」は33%で,
過半数は祖母の一般的な呼称で呼ばせたいようです。
回答したママ・パパの年齢別に見ると,こちらも若いほど「ばあば」の人気が高くなっています。地域別に見ると,四国では「ばあば」と呼ばせたい人が40%を超えています。
(3) 実際に,おじいちゃんをどう呼んでいる?
希望ではなく,子どもが話せる年齢になっている人たちに,実態を聞いた質問に対して,全体では「じいじ」が44%で最多です。回答したママ・パパの年齢別に見ると,
回答者の年齢が高くなるほど(≒子どもの年齢も高くなるほど)「おじいちゃん」又は「じいちゃん」と呼んでいる子どもが多くなっています。
地域別に見ると,関東では「じいじ」と呼んでいる子どもが過半数の55%に達しており,東海,近畿,四国でも40%を超えています。
一方,北陸・甲信越では「じいじ」派が僅か13%で,一般的な「おじいちゃん」「じいちゃん」という呼び方が多数派です。
(4) 実際に,おばあちゃんをどう呼んでいる?
こちらも「ばあば」と呼んでいるのが40%で最多です。
祖母の呼び方で,祖父のケースと違うのは,「(お)ばあちゃん」や「ばあば」以外の「その他」という答えが,全体の20%近く見られることです。
いかにも高齢の女性っぽい呼称である「(お)ばあちゃん」や「ばあば」という呼び方は,女性の場合,敬遠されることもあるようです。
(5) 「じいじ」「ばあば」という呼び方,どう思う?
祖父母を「じいじ」「ばあば」と呼ぶことに対して,好意的にとらえている人は全体の78%です。回答したママ・パパの年齢別に見ると,回答者の年齢が低いほど,より好意的です。
20歳代前半まででは,「とても好感がもてる」が32%,「好感がもてる」が55%で,合わせて87%が好意的にとらえています。
一方,40歳代以上では,「あまり好感はもてない」が29%,「好感はもてない」が4%で,合わせて33%が好意的ではありませんでした。
3 アンケート:祖父母の呼び方
解決★コンビタウン(平成21年7月31日閉鎖)
http://www.combibaby.com/commu/kaiketsu/ikuji/enquete/08.html
平成20年3月に祖父母の呼び方に関するアンケートをママに実施し,回答のあった2,043件について分析しています。
(1) 現在,お子さまは祖父母のことをどう呼んでいますか? まだ,呼んでない方はどう呼ばせたいですか?
自分(ママ)の父親は「じいじ・じいじい」が41%,「おじいさん・おじいちゃん」が23%であり,夫(パパ)の父親は「おじいさん・おじいちゃん」が39%,
「じいじ・じいじい」が30%となっています。自分の父親はちょっとくだけた呼び方で,夫の父親には気を遣い少し丁寧な呼び方となっているのでしょうか。
祖母の場合についても,祖父と同じような傾向があり,自分の母親は「ばあば・ばあばあ」が38%で1位。夫の母親に関しては「おばあさん・おばあちゃん」が39%で1位となっており,
義母への気遣いが感じられます。
(2) お子さまの祖父母の呼び方は,どなたの希望ですか?
自分(ママ)の父親については,ママの希望が45%,呼ばれる本人の希望が29%となっており,夫の父親については,ママの希望が39%,呼ばれる本人の希望が27%となっています。
ママの母親については,自分の希望が47%,呼ばれる本人の希望が39%となっており,夫の母親については,ママの希望が38%,呼ばれる本人の希望が32%となっています。
祖父の場合は,おじいちゃんと呼ばれることにさほど抵抗はないようで,ママたちも祖父の呼び方については,それほど悩まないようですが,
祖母については,呼ばれる本人の希望の割合が高く,自分の希望どおりに呼ばないと返事をしないという,ちょっと困ったおばあちゃんもいるようです。
(3) ご自分は,祖父母をどう呼んでいましたか?
祖父については,「おじいさん・おじいちゃん」が75%,「じいさん・じいちゃん」が13%,「じいじ・じいじい」は僅か3%となっています。
祖母については,「おばあさん・おばあちゃん」が77%,「ばあさん・ばあちゃん」が13%,「ばあば・ばあばあ」は僅か4%となっています。
「じいじ・ばあば」という呼び方は,昔はあまりなく,最近の傾向だということが分かります。
(4) ご自分が祖母の立場になったとき,どう呼んでほしいですか?
「おばあさん・おばあちゃん」と呼ばれたいが39%,「ばあば・ばあばあ」が28%,「名前・あだ名」が12%となっています。
ママが子どものころの祖母たちより,「ばあば・ばあばあ」と呼ばれたい人が多くなっていることは確実のようです。
4 おわりに
東京都の下町でも,昔から祖父母を「じじ・ばば」と呼んでいるところがあるようです。
遠くに祖父母を見つけた幼児が嬉しさのあまり,「ジジー,ババー」と大声で呼ぶのを見て,よそ者は「なんてしつけの悪いガキどもだ」と驚くことになります。
乳幼児のとき「じいじ・ばあば」と呼ぶのは可愛らしいと思われても,中高生になっても皆の前で「じいじ・ばあば」では,友達にからかわれかねません。
長寿化が進み,昔とは比べようもないほど元気な祖父母が増えているのでしょうが,どう呼ばれようが孫が遊びに来てくれれば,それで十分だと思うおじいちゃん,
おばあちゃんもたくさんいると思われます。
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